アメリカ最古の都市の一つであり、世界最高峰の大学が集まる街、マサチューセッツ州ボストン。一見すると洗練された近代都市ですが、生活のふとした瞬間に日本との大きな違いを感じることがあります。今回は、ボストンならではのユニークな常識をピックアップしました。ボストンの生活に早くなじむためにも必要な「新しい常識」となるかもしれませんね。
1. 街の鼓動は「学生」が決める!?交通と工事の不思議
- 夏休み期間中は車が激減する
ボストンは「学生の街」です。ハーバード大学やMIT、ボストン大学など数多くの大学がひしめき合っているため、5月の卒業式が終わって学生が一斉に街を離れると、秋まで嘘のように交通渋滞が緩和されます。日本の「お盆やすみ」のような現象が、ボストンでは夏の間ずっと続くのです。 - 7月1日を過ぎると急に道路工事が増える
夏になると突然あちこちで道路が掘り返され始めます。「なぜこんな時期に?」と思うかもしれませんが、実はマサチューセッツ州の新会計年度(Fiscal Year)が7月1日からスタートするため。新しい予算が下りた途端、一斉にインフラ整備が始まるのがボストンの夏の風物詩です。
2. 気候と住まいに隠された歴史
「Snow day(休校日)」は公立校より大学の方が多い!?
ボストンの冬は厳しく、大雪が降ると学校や会社が休みになる「スノーデー」という制度があります。面白いことに、近所の公立学校が開いていても、ハーバード大学などの巨大な名門大学がいち早くクローズすることがあります。これは、学生だけでなく広範囲から通勤する何千人もの教職員の安全を確保するためのダイナミックな決断です。戸建てに住む「教授」は朝から雪かきで汗を流しているかもしれませんね。
「エアコン」を見れば建物の築年数がわかる
歴史の古いボストンのアパートは、日本の画一的な壁掛けエアコン事情とは全く異なります。実は、外観の「エアコンのタイプ」を見るだけで、その建物の大体の築年数がわかります。これで不動産エージェントに聞かなくとも大体の築年数は判断できます。鉛塗料の判断などで役立ててください。
- 1960年より前: 窓枠にはめ込む「ウィンドウ・エアコン」
ボストン名物の「ブラウンストーン」や「トリプルデッカー(木造3階建て)」など、戦前・戦後に建てられた古い家は、暖房がお湯や蒸気を使った「ラジエーター式」で、家の中に空気を送るダクト(配管)が存在しません。そのため、夏になると窓枠に重たいエアコンを自力で設置する「ウィンドウ・エアコン」が現在でも主流です。 - 1960年代中盤〜1970年代はじめ: 壁に埋め込まれた「壁一体式エアコン」
この時期に建てられた中層アパートメントなどでは、窓からの景色を遮らないよう、あらかじめ壁に四角い穴(スリーブ)を開けて専用のエアコンを差し込むスタイルが建築のトレンドになりました。レンガ造りの建物の壁に、長方形の通気口が規則正しく並んでいるのが特徴です。
ブルックラインのDexter ParkやCambridgeのWalden Parkなどはこのタイプの意外と古い建物です。 - 1970年代後半以降〜現代: 家全体を冷やす「セントラルエアコン」
この年代以降の比較的新しい建物では、壁の裏にダクトを張り巡らせて家全体を一つのシステムで管理する「セントラルエアコン」が標準になりました。また、近年では歴史的な古い家をリノベーションする際、日本でおなじみの壁掛け式(ダクトレス・ミニスプリット)を取り付けるケースも急増しています。
3. 日常生活に潜む「宗教」と「法律」の壁
- 日曜日にお金を使えない!?お休みのファストフード店
日本なら週末はどのお店も稼ぎ時ですが、ボストンでは日曜日に閉まっている商店が珍しくありません。これはキリスト教の安息日に由来する「ブルー・ロー(Blue laws)」という古い法律の名残です。また、「Chick-fil-A(チックフィレイ)」などの人気ファストフードチェーンも、企業の宗教的信念から日曜日は全店休業となります。信じられます? - 公共の場所(公園・ビーチ)での飲酒は「絶対厳禁」
日本の春の風物詩である「公園でのお花見ビール」や「夏のビーチでチューハイ」をボストンでやると、あっという間に警察を呼ばれます。アメリカ(特にマサチューセッツ州)はオープン・コンテナ法が非常に厳しく、屋外の公共スペースでお酒を飲むこと、さらには封の開いたお酒を持ち歩くこと自体が違法です。お酒はライセンスを持った店内か、自宅の敷地内で楽しむのが絶対のルールです。
アパートによっても敷地内のプールサイドなどでも飲酒が禁じられているところもあります。ご注意を!
4. 街歩きで見つけるアメリカならではの文化

- 家に飾られた「★マーク」はベテラン(退役軍人)の誇り
住宅街を歩いていると、家の壁や玄関などの目立つところに大きな金属製の「星のマーク(Barn Star)」が飾られていることがあります。これは単なるオシャレな装飾ではなく、その家に「軍隊の経験者(ベテラン)」が住んでいる、あるいは愛国心を示すシンボルとして飾られていることが多く、アメリカ社会における軍人への敬意の表れです。 - 警察の管轄が細かすぎる
日本の「〇〇県警」という統一されたシステムとは異なり、ボストンの警察組織は非常に複雑で細分化されています。- 町ごと(Town/City): ボストン市警やブルックライン町警など、地域密着型のローカル警察。
- 郡(County): 裁判所の警備や囚人の移送などは「シェリフ(保安官)」の管轄。地方裁判所の命令(Order)で動きます。
- 州(State): 高速道路や州の施設を管轄する「ステート・ポリス(州警察)」。
- 大学(University):キャンパスを守る「最強の大学警察」 ボストンやケンブリッジを歩いていると、「Harvard University Police」や「MIT Police」と書かれたパトカーを頻繁に見かけます。「大学の警備員でしょ?」と思ったら大間違い。彼らはマサチューセッツ州法に基づく、ボストン市警などと全く同じ「逮捕権」や「捜査権」を持つ本物の警察官です。 拳銃を携帯し、独自の刑事部門も持っています。キャンパスという「一つの巨大な街」を守るため、市警と連携しながら24時間体制で治安を維持している、アメリカのアカデミックな街ならではの警察組織です。
それぞれ権限や役割が異なり、サイレンの音やパトカーのデザインも全く違います。興味深いでしょ!
5. 交通ルールの「えっ!?」
- 赤信号でも右折OK(ただし地域差に要注意)
アメリカでは基本的に「赤信号でも安全確認後に右折可能」です。右折専用車線で日本と同じ感覚で止まっていると後ろからクラクションを鳴らされますこともあるので注意!ただ、マサチューセッツ州は少し複雑です。最近は「No Turn on Red(赤信号右折禁止)」の標識が至る所にあります。さらに、ケンブリッジ市などは安全対策として市内全域で赤信号の右折を原則禁止にする動きを進めています。気を付けないで、右折すると違反になるエリアもあるので、ドライバー泣かせのルールですね。(;´д`)トホホ - 踏切での一時停止は逆に「追突の危険」
日本では踏切前での一時停止が義務ですが、アメリカでは赤ランプが点滅して遮断機が下りてこない限り、そのままの速度で通過するのが正解です。スクールバスや危険物積載車両などを除き、一般車両が日本のクセで急に一時停止すると、後続車に追突される危険があるため絶対にやってはいけない行為とされています。 - 信号のない交差点「4-Way Stop」
「STOP」標識の下に「4-Way」または「All Way」と書かれた交差点では、到着した順番に1台ずつ進むというルールがあります。アイコンタクトと絶妙な譲り合いが求められ、慣れるまでは非常に緊張する交通ルールです。 - 日本にはない交差点ロータリー
パリの凱旋門の周りなど、日本にはあまりない形の交差点「ロータリー」。このロータリーに四方八方から道路が交差します。交通ルールはいたって簡単!ロータリー内を走行している車が優先。直線だと思ってもロータリー内に走行している車があれば一旦停止、そちらを優先しなければなりません。
6. ボストンの住まい・引っ越し事情
- 9月1日の大移動と「オールストン・クリスマス」
大学が集中するこのエリアでは、アパートの賃貸契約サイクルが新学期に合わせた「9月1日開始・8月31日終了」に集中しています。そのため、月末から月初にかけては街中で引っ越しトラック(U-Haul)が大渋滞を起こします。また、学生たちが退去時に不要になったソファやテレビなどの家具を歩道に大量に放出し、それを別の人が自由に拾っていく光景は「オールストン・クリスマス」と呼ばれ、ボストンの秋の風物詩となっています。
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【ボストン賃貸の狂気】恐怖の「9月1日問題」と、一晩ホームレスになる「空白の24時間」の回避術 - 郵便物は「自宅のポスト」から発送できる
日本では手紙を出す際、郵便局や街のポストに行きますが、アメリカの戸建て住宅では自宅の郵便受けに投函したい手紙を入れ、横についている「赤い旗」を上に向けて立てておくだけで、郵便配達員が配達ついでに回収してくれます。集合住宅の賃貸アパートやコンドミニアムでも郵便ポストの中、もしくはわきに「Sending」または「Out Going」と書かれたBoxがあります。こちらに投函すれば、配達員が回収してくれます。
7. 医療と生活習慣
- 救急車は「超高額なタクシー」!?
日本の救急車は119番で無料で来てくれますが、アメリカで911に電話して救急車を呼ぶと、後日高額な請求書(距離や処置によっては数千ドル)が届きます。ただ、健康保険に加入していれば費用は数百ドルで収まります。でも高い!
本当に!という方下記の記事を👇
【ボストン赴任者必見:実録】アメリカの救急医療の現実|救急車を拒否するおばあちゃんの理由」 - 真冬の吹雪でも「アイスコーヒー」
マサチューセッツ州発祥の「ダンキンドーナツ(Dunkin’)」は地元民の生活の一部です。ニューイングランド地方の人々は、気温が氷点下になる大雪の日でも、分厚いダウンジャケットを着込みながらキンキンに冷えた巨大なアイスコーヒーを持ち歩くという謎の習慣を持っています。
【ボストントリビア第2弾】えっ、あの大企業も?ボストン・MA州発祥の有名ブランドと、不思議な地名の由来
日本とは違うルールや文化を知ることで、ボストンでの生活はさらに味わい深いものになります。町に出てみたら、ぜひ建物のエアコンや家の★マーク、パトカーのデザインなどを観察してみてはいかがでしょうか?
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