こんにちは!ボストン近郊で不動産ブローカーをしているこがちゃんです。
「やっぱり住むならボストンの街中がいい!」という方に絶大な人気を誇るのが、チャールズ川沿いの3エリアです。しかし、この3つの街、実はライフスタイルが全く異なります。「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、不動産のプロの視点から、それぞれの「素顔」を解説します。
まずは全体像をひと目で。同じ川沿いでも、これほど性格が違います。
| エリア | 街の性格 | 新築物件の出やすさ | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| West End | 再開発が進む新興エリア、対岸より割安な傾向 | 非常に多い | 最新設備をリーズナブルに求める方 |
| Back Bay | ヴィクトリア様式の美しい街並み、厳格な景観規制 | ほぼなし | 歴史的な街並みと静寂を重視する方 |
| Fenway側 | 大型スーパー&最新アパートが集まる再開発地区 | 多い | 都会の活気を求める方 |
| Kenmore側 | 大学が密集するアカデミックな学生街 | 少ない | 音楽・学生カルチャーを楽しみたい方 |
■ 1. West End(ウエストエンド):最新設備を求めるならここ!
歴史的建造物が守られ、再開発が難しいビーコンヒル(Beacon Hill)に対し、その隣のウエストエンドからノースステーション(North Station)周辺にかけては、近年驚くほどの勢いで新しい高級アパートが建設されました。
面白いのが家賃の逆転現象です。以前はボストン市内が最高値でしたが、最近では対岸にあるケンブリッジのケンダル・スクエア(Kendall Sq.)周辺のアパートの方が家賃が高くなっているケースも珍しくありません。 「新しい設備に住みたいけれど、ケンブリッジは高すぎる……」という方にとって、ウエストエンドは非常に戦略的な選択肢になっています。
(関連記事)👉【ボストン・エリアガイド】ケンブリッジの「新旧」を読み解く。歴史のハーバード vs 再開発のケンダル——お部屋探しの新常識
💡豆知識:西隣ビーコンヒルの「山」が、この街の土台になった 実はボストンの中心部には、かつて「Trimount(トライマウント)」と呼ばれる3つの丘がありました。現在のビーコンヒルと、その西隣にあった「マウント・バーノン」という丘です。1795年、地元の有力者たちが結成した不動産開発グループ「Mount Vernon Proprietors」が土地を買収し、1799年から数年かけてこの丘を切り崩しました。削られた土砂は周辺の低地の埋め立てに使われ、現在のビーコンヒルの平地部分やウエストエンド一帯の土台になったと伝えられています。古い歴史の土台の上に、最新の生活スタイルが築かれているなんて、ちょっとロマンを感じませんか?
■ 2. Back Bay(バックベイ):世界一美しい「不便」な街?
ボストンを象徴するヴィクトリア様式の街並みが美しいバックベイ。ここで家探しをする際、日本の方が一番驚かれるのが**「商業施設の徹底した排除」**です。
- 静寂を守るゾーニング: 商業地区(Newbury St.、Boylston St.)を一歩離れ、コモンウェルス・アベニューやビーコン・ストリートに入ると、コインランドリー一軒さえも見当たりません。 これほどの一等地で、生活感のある施設が一切ないのは、厳しい建築規制(Zoning)によって景観と静寂が守られているからです。
- 知っていると自慢できる豆知識: 街を横切る通り(Arlington St.から西へ)は、実は**「A, B, C…」とアルファベット順**に名前がついているのをご存知ですか?Arlington, Berkeley, Clarendon, Dartmouth, Exeter, Fairfield, Gloucester, Hereford… これを知ると、バックベイの街歩きがぐっと楽しくなり、初めて訪れる方も「なるほど!」と感激されます。

ボストン最大の埋め立て地であるバックベイ。この広大な土地を埋めるため、当時はるか西のニーダム(Needham:Newtonのお隣)から貨物列車を毎日24時間走らせ、何十年もかけて土砂を運び続けたという途方もない歴史があります。アルファベット順の美しい街並みの足元には、そんなダイナミックな開拓史が眠っているのです。
■ 3. Fenway / Kenmore(フェンウェイ・ケンモア):ボストン随一の活気!「都会の洗練」と「学生街の熱気」が交差する街
レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークを中心に広がるこのエリアは、一つの街の中に「2つの全く異なる顔」を持っています。都会的な刺激を求める方にとって、これほどエキサイティングな場所はありません。
① 最新トレンドが集まる再開発エリア(Fenway側) フェンウェイ側は今、ボストンで最もエネルギッシュな再開発地区です。最新のラグジュアリーアパートメント、TargetやWegmansといった大型スーパー、そしておしゃれなレストランやスポーツパブが次々と誕生しています。 以前、東京の新宿に住んでいらしたお医者様ご夫婦をご案内した際、他の閑静な住宅街では「静かすぎて落ち着かない……」と仰っていたのですが、このフェンウェイの活気を見た瞬間に「ここだ!」と即決されたエピソードがあるほど、都会の鼓動を感じられる街です。
② 音楽と若き才能が集う伝統の学生街(Kenmore側) 一方、そこから歩いてすぐのケンモア(Kenmore)地区は、ボストンならではの「アカデミックな熱気」に包まれています。 ケンモア・スクエアのランドマークであるBU(ボストン大学)をはじめ、バークリー音楽大学(Berklee College of Music)やボストン音楽院(Boston Conservatory)、少し足を伸ばせばエマニュエル・カレッジやノースイースタン大学など、世界中から若き才能が集まるエリアです。
特にバークリー音楽大学は日本人にもゆかりが深く、「ナベサダ」こと世界的ジャズサックス奏者の渡辺貞夫さんをはじめ、小曽根真さんや上原ひろみさんなど、日本の名だたる音楽家たちがこの街で学び、世界へと羽ばたいていきました。現在でも、未来のスターを夢見る才能溢れる日本の若きミュージシャンたちが、この地でひそかに、そして熱く腕を磨いています。
街角から楽器を抱えた学生の姿が見えたり、カフェで熱心に議論する若者がいたりと、古き良き「ボストンの学生街」のカルチャーが色濃く根付いているのがこのエリアの魅力です。
「便利な最新アパートに住みながら、一歩外に出れば若々しいエネルギーと都会の喧騒を楽しめる」――静寂よりも刺激的なアーバンライフを愛する方には、このFenway / Kenmoreエリアが絶対の正解です。
Fenway / Kenmoreエリアの西、BU(ボストン大学)のおひざ元まで足を延ばしてみましょう!👉熱気あふれる巨大な学生街「Allston」と、少し落ち着いた「Brighton」
■ プロのまとめ:3つの街は「求める刺激」で選ぶ
同じ都心3エリアでも、「最新設備をお得に」ならWest End、「歴史と静寂」ならBack Bay、「活気と若さ」ならFenway / Kenmore。都会暮らしと一口に言っても、そこにある空気感は驚くほど違います。まずはご自身が、街のどんな「顔」を求めているのかを整理してみてください。
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UnsplashのClark Van Der Bekenが撮影した写真を使用しています。

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