アメリカ・マサチューセッツ州ブルックラインで、賃貸トラブルとしては最悪クラスの事態が起こりました。ボストン大学(BU)の学生たちが暮らすアパートが保健当局によって「生活不能(condemned)」と判定され、住人全員が突然の退去を余儀なくされたのです。
新学期が始まったばかりのこのタイミングで、一体何が起きたのか。事件の経緯と、アメリカならではの賃貸トラブル対応の仕組みを解説します。
発端は「カビの相談」だった
事の始まりは、学生たちが感じていたアパート内の「カビ」への違和感でした。
住人たちは管理会社に何度もカビ被害への対応を求めていましたが、数週間経っても状況は改善されず。しびれを切らした学生たちが最終手段として選んだのが、ブルックライン市の保健当局(Department of Public Health and Human Services)への直接通報でした。
この「自分たちで公的機関に駆け込む」という行動が、結果的に事態の深刻さを明るみに出すことになります。
検査で発覚した「地下室の汚水漏れ」
2026年9月18日(金)、通報を受けた保健検査官が対象の物件(56 Egmont Street)を調査したところ、次々と重大な違反が見つかりました。
| 発覚した問題 | 詳細 |
|---|---|
| 強い異臭 | 建物内に充満、当初はガス漏れも疑われた |
| 臭いの正体 | 下水管から漏れる「下水道ガス(sewer gas)」と判明 |
| 地下室の状態 | 板張りで封鎖されていたが、内部で汚水が現在進行形で漏出 |
| 被害範囲 | 建物内の広い範囲に汚染が拡大 |
この状況を受け、市は物件の全6戸に対して即座に立ち入り禁止(condemn)を発令し、住民全員に退去命令を出しました。
【MA州の法律】住まいは健康の土台。大家の「3大責任」と絶対知るべきお部屋のルール(State Sanitary Code)
豆知識:アメリカの「Condemn(コンデム)」ってどんな制度?
日本にはあまり馴染みのない仕組みですが、アメリカでは自治体の保健当局や建築部門が、建物を「人が住むには危険」と判断した場合、法的な強制力を持って住人に退去を命じることができます。これが condemn(コンデム)です。
- 家主の同意は不要で、行政の判断だけで発令される
- 是正が完了し、検査に合格するまで住人は戻れない
- 借主にとっては「泣き寝入りしない」ための強力な手段でもある
今回のケースのように、入居者側から保健当局に通報して物件が是正されるというのは、アメリカの賃貸トラブルではよくある解決ルートです。
学生たちの本音「勉強に集中したいだけなのに」
突然の退去劇に、学生たちは大きなショックを受けています。
被害に遭った学生の一人は、大学4年生(シニア)が始まったばかりで快適に過ごしたかったのに、急に住処を失って怖い思いをしていると話しています。また、勉強に集中したいだけなのに家や引っ越しの対応に追われることへの戸惑いの声も上がりました。
なお、住処を失った学生に対しては、ボストン大学警察と学生支援課が一時的な滞在先の手配を行っているとのことです。
住人が戻るための3つの条件
保健当局は、管理会社に対して以下の是正を命じています。修繕が完了し検査に合格するまで、立ち入り禁止は解除されません。
- 配管修理:資格を持つ水道業者による下水パイプの修理
- 清掃・消毒:プロの清掃業者による地下室の洗浄・消毒・消臭
- 空気質の確認:十分な換気に加え、第三者機関による空気質テスト(Air quality testing)のクリア
プロのまとめ:留学・駐在で借りる部屋だからこそ「おかしい」を放置しない
今回の一件は、老朽化した物件や対応の遅い管理会社が、いかに生活の安全を脅かすかを浮き彫りにしました。留学や海外赴任で初めてアメリカの賃貸に住む方にとっては、他人事ではない話です。
ポイントは、カビや異臭など「何かおかしい」と感じたら、管理会社の対応を待つだけでなく、自治体の保健当局(Health Department)に相談できるということ。これはアメリカの借主に認められた正当な権利です。
弊社(Massachusetts Healthy Living)でも、賃貸契約の内容確認や、入居後のトラブル時にどこに相談すべきかといったご相談を承っています。慣れない土地での部屋探し・住まいのトラブルは、ぜひ日本語で安心してご相談ください。
(出典:Boston 25 News) 参照元記事:BU students displaced after health officials condemn Brookline apartment building

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