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マサチューセッツ州の「ブローカー法」入門【後編】購入で「自分が雇うブローカー」と「リスティングブローカー」はどう違う?

※この記事は2026年10月時点で公開されている州の公式情報をもとにした一般的な解説です。法律の個別の適用についての助言ではありません。個別のケースは、弁護士または州の担当機関にご確認ください。

【前編】では、ブローカーとは何者か、どんな責任を負っているのか、そして賃貸での「自分で雇うブローカー」と「大家さんのブローカー」の違いを解説しました。

【後編】は、家を買う場合です。購入でも、見るべきポイントは変わりません。**「そのブローカーは、誰に雇われているのか」**です。

おさらいとして、ブローカーは州の免許を持つ専門職で、クライアントの利益を優先し、クライアントに不利になる情報を相手側に伝えない責任を負っています。この点を踏まえて、購入の場合を見ていきましょう。

  1. 【購入】自分で雇うブローカー vs リスティングブローカー
  2. ブローカーを選ぶ前の最終チェック

1. 【購入編】自分で雇うブローカー vs リスティングブローカー

購入では、賃貸と違って、「誰の代理人か」を書面で開示するルールがあります。

最初に出会う書面:エージェンシー開示

州のファクトシートによれば、ブローカーやセールスパーソンは、特定の物件について初めて直接会って話をする時点で、自分が誰を代理しているのかを書面で明らかにしなければなりません。

4つの関係性

立場誰の代理人か主な特徴
売主側のエージェント(リスティングブローカー)売主売主に対して忠実義務、守秘義務、説明義務を負い、売主の利益を最優先に交渉する
買主側のエージェント(自分で雇うブローカー)買主あなたの指示に従い、あなたに不利になる情報を秘密にし、あなたの利益を最優先に交渉する
開示された二重代理(Disclosed Dual Agent)買主・売主の両方双方の同意と書面での通知が必要。どちらか一方への全面的な忠実義務は負わず、双方に公正・誠実であることが求められる。開示なしの二重代理は違法
ファシリテーター(Facilitator)どちらの代理人でもない双方が合意に達するのを手伝う役。重大な欠陥の開示義務や金銭の管理責任はあるが、特別な取り決めがない限り、守秘義務はない

リスティングブローカーとは?

売主に雇われて、物件を売り出す側のブローカーのことです。物件を広告に出し、内見を手配し、オファーを受け付けます。リスティングブローカーは売主の代理人なので、売主の利益を最優先に動きます。

メリットとデメリット

② 自分で雇うブローカー(買主側のエージェント)

メリットデメリット
あなたの利益を最優先に動く買主側の報酬を取り決める必要がある(後述)
あなたの予算や事情を、守秘してもらえる契約書(買主代理契約)への署名が必要
価格・条件の交渉、物件の比較検討を任せられるブローカーによって経験や対応エリアに差がある
日本語など、母国語で相談できる人を選べる

① リスティングブローカーに直接連絡する場合

メリットデメリット
物件の詳細を、一番よく知る人に直接聞ける売主の代理人なので、あなたの側に立って交渉する立場ではない
窓口がひとつなので、やり取りがシンプルになりやすいあなたの予算や事情が、売主側に伝わる可能性がある
二重代理になる場合、あなたはどちらか一方の「全面的な味方」を得られない

州のファクトシートは、売主側のブローカーやファシリテーターと話す際、財務情報や、急いでいる事情などを話しすぎないよう注意を促しています。

買主側ブローカーへの報酬と「書面の契約」

全米不動産協会(NAR)の和解(2024年8月から適用)により、MLS(物件情報システム)の参加者であるエージェントは、買主の物件案内を始める前に、書面の買主代理契約(Buyer Representation Agreement)を結ぶ必要があるとされています。報酬の金額や計算方法は、「売主が提示する額と同じ」といった曖昧なものではなく、具体的に(客観的に確定できる形で)書くことが求められています。また、買主側ブローカーへの報酬の額は、MLS上に表示されなくなりました。

つまり、現在の購入では、次の点を契約前に確認することが大切です。

  1. 報酬の金額(または料率)はいくらか
  2. 誰が払うのか(売主が負担する分、買主が直接払う分)
  3. 売主が負担しなかった場合に、あなたがいくら払うのか
  4. 契約の期間と、途中でやめる場合の扱い

ファクトシートにも、「買主代理の契約を含めて、内容が十分に説明されるまでサインしないように」とあります。報酬や契約期間は交渉できます。

なお、賃貸のブローカーフィーに関する2025年8月施行の新ルールは、住宅の購入や商業用賃貸には適用されません(EOHLC FAQより)。購入は購入のルールで考える必要があります。

購入時にあわせて知っておきたいこと

  • オファーはすべて売主に伝えられる:売主のブローカーは、受け取ったオファーを売主に伝える義務があります。
  • 手付金(デポジット)は交渉できます。預かり金はブローカーのエスクロー口座で別管理されます。
  • 約束は売買契約書(P&S)に書く:ブローカーや売主が、物件や付帯物について重要な約束をした場合、その内容は売買契約書に盛り込むよう勧められています。
  • インスペクターは、売主側のブローカーの紹介ではなく、自分で探す:ファクトシートは、友人の紹介などから探すことを勧めています。
  • 弁護士への相談:法律、税金、保険などの判断は、ブローカーではなく、それぞれの専門家に確認する責任が消費者にあるとされています。

💡 豆知識:リスティングエージェントは、ハウスインスペクションに同行しないことが多い 購入の流れでは、買主が依頼したインスペクターが物件を調べる「ハウスインスペクション」が行われます。このとき、売主側のリスティングエージェントは、立ち会わないことが多いのが実情です。立ち会わなければ、インスペクションで見つかった不具合を、その場では知らないことになります。 開示の義務は、基本的に**「知っている」重大な欠陥**についての話です(州のファクトシートでも、知っている重大な欠陥の開示が義務として挙げられています)。そのため、知らなかったことまで開示する義務はない、というのが基本的な考え方です。 ただし、知っていて隠すことや、質問されてだますような回答をすることは認められません。 買主にとっての教訓は、「売主側のエージェントが、物件の不具合をすべて把握しているとは限らない」ということです。だからこそ、自分で選んだインスペクターに依頼し、できる限り自分も立ち会って、その場で説明を聞くことが大切になります。


2. ブローカーを選ぶ前の最終チェック

  1. 免許を確認する:ブローカー本人と、所属するセールスパーソンの免許が有効(Active)で、懲戒処分(停止・取消し)がないかを、州のサイトで確認する
  2. 誰の代理人かを聞く:「あなたは誰に雇われていますか?」「私の代理人ですか?」
  3. 報酬を書面で確認する:買主代理契約で、金額、誰が払うか、いつ払うか、契約期間を確認する
  4. 契約書は説明を受けてからサインする
  5. 話す情報を選ぶ:相手が自分の代理人でない場合は、予算の上限や事情を詳しく話しすぎない

プロのまとめ(後編)

  • 購入では、**エージェンシー開示(誰の代理人か)**が書面で行われます。
  • 自分で雇う買主側のブローカーは、あなたの利益を最優先に動き、あなたに不利な情報を守秘します。
  • リスティングブローカーは売主の代理人です。予算や事情を話しすぎないようにしましょう。
  • 買主側のブローカーとは、報酬を具体的に書いた契約を結ぶ流れになっています。
  • 売主側のエージェントは、インスペクションに立ち会わないことが多いため、自分でインスペクターを選び、できるだけ立ち会うことが大切です。
  • 納得するまで質問し、書面を読んでからサインすることが大切です。

賃貸の場合の違いは、【前編】をご覧ください。


参考にした公式情報

制度は変更される場合があります。最新の内容は、上記の公式サイトでご確認ください。

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